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「Noise messenger[4]」4-1:4







 地上にいる各国騎馬部隊にとって、空の顛末は全てが見る事しかできなかった。

 ミシェイルが墜落したという話も、起こった事象同様に唐突の感が強い。

 しかし、敵の総大将が墜落したとなれば、もう戦は終結したようなものだった。

 両軍どちらの部隊も大きな動きは見せず続報を待つが、捜索が難航したのか、予想していたよりも長くかかった。

 各方面から落下地点に伝令が走っていたものの、各部隊に届くのが一番速かったのはやはりシーダ隊の天馬騎士だった。

 彼女の報せによると、パオラは重傷を負ったものの落ちた場所の関係もあって生存しており、一方のミシェイルは未だ発見できず行方不明になっているという。

「行方不明って……何ていうか、中途半端だよな」

「だが、敵方の総大将が不在である事は変わりない。降伏を促せば……」

 そこへ、北西から伝令の天馬騎士が全速力で駆けつけてきた。

「待機していた竜騎士団本営と騎馬混合部隊が接近してきていますっ!」

 その慌てぶりからして、攻勢に出ているのは明らかだった。

 急いで勧告兵を放ったものの、『マケドニア王国軍はミシェイルの意思に従って「マケドニアの敵が全て排除されるまで」戦い続ける』と返されてしまったのだという。

 交戦が決まってしまっては、解放軍は陣を改めて整えるしかない。

 千を超える精鋭竜騎士には、合流したマリクのエクスカリバーで初撃を与え、弓兵の援護の後に、各国の騎馬部隊が槍を交える。

 勇猛を持って鳴らすアリティア騎士や、祖国で受けた屈辱を晴らそうとするオレルアン騎士の勢いもさることながら、マケドニア騎馬騎士隊もまた格上の相手に対して奮戦していた。

 切り込み隊の姿を捜すと、威勢のいい、あるいは乱暴とすら思える科白が聞こえてくる。

「騎馬騎士ナメてくれんじゃねーか!」

「将軍の真似して手槍を投擲しねぇなんざ、二十年早ぇんだよ!」

 気合の入る戦だと明言していたように、彼らは科白負けせず互角以上の戦いを繰り広げていた。

 が、勢いで突出した彼らの側面へ別の竜騎士隊が襲いかかろうとしていた。

 しかしその竜騎士隊に弓の弦が唸る音と共に、鋭い矢勢が向かっていった。

 完全に隙を突かれたため、墜落する竜騎士が続出する――その見事な結果を出したのは、最初の援護射撃から林を通り抜けてきた元ホースメン隊だった。先頭ではカシムが指示を出し、状況を見て自らも斉射に参加したようだった。

 まだ全滅には至っていないため、残った竜騎士隊はこの弓隊に攻撃を仕掛けようとしたが、そこへ新しい魔道が降りかかってきた。

 リンダが特殊な印から魔道を放つと、陽の暮れかけた空を背景にして、眩く光る小さな物体が無数に現れ、光が纏う強烈な魔道の力が竜騎士達に襲い掛かってとどめをさしたのだった。

 この魔道の名はスターライト・エクスプロージョン。唯一の暗黒魔道マフーに対抗できる手段である。

 どうやらミシェイルの生死の続報を待っている間に、マルスが各部隊の伝令に紛れて目的を達してきたようだった。


(Noise messenger [4] end)





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