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「諸記 カシミア〜グルニア戦」 3-12






 グルニア城の前で戦いが繰り広げられている時、ニーナは身のちぎれる思いで、解放軍の勝利を願い続けていた。

 カダインも、カシミアも、グルニアの緒戦も彼女を戴いている人間が苦しんでいた。いずれも、ニーナがカミユへの思いに捕らわれていた時だ。

 ここでもカミユへの思いを重ねてしまったとしたら、取り返しのつかない事になるかもしれない。思い過ごしと断じるにはあまりにも合致しすぎている。 ハーディンに自らの印を託したのは、大陸のためにカミユへの思いを断ち切るためだった。

 しかし、それと引き換えにニーナの心は裂かれていった。

 愛する者を素直に愛することを許されない、戦場に立つアカネイア王女の宿命。

 それが覇者の証・エムブレムにまつわる伝説、「アルテミスのさだめ」だった。



(諸記 カシミア〜グルニア戦:終)





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