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二 隠密攻撃戦





 皇帝が斃れてから五日。解放軍がグランベルにおいての直接全面戦争に突入する一日前に、シアルフィ城から発った武装団があった。

 わずか十人で構成された彼らは南西のユングヴィに向かっている。そのメンバーはオイフェ、レスター、ディムナ、ラナ、マナ、アミッド、パティ、リンダ、ファバル、アサエロである。

 彼らの目的は一つ、ユングヴィのスコピオを討つことだった。

 どうしてこの人選になったのかというと、ユングヴィの事はユングヴィでどうにかしろ、とまず四人が勝手に決められ、オイフェは案内役に選ばれ、残りは四人の全面サポートだという。

「そんな簡単に決まっていいのかな……」

 たった十人で城を陥とせというのは乱暴じゃないかと出発前に言ったのだが、スマイル皇子はあっさりとかわしてきた。

「絶対に城から出ているから、それを見計らってユングヴィ公を討ってくれればいいよ」

 セリスとは対アルヴィスの時に思いっきりお近づきになってしまったが、理解できるかというとそれは別の話である。

 無駄とわかりつつも、パティは反論した。

「大将がのこのこと出てきてくれるとは思えないけど……」

「そんなに心配だったら元軍師をつけてあげるよ。きっといい作戦を持ってくるだろうから」

 無責任なセリスの発言で出発寸前に参加が決まったオイフェは今のところは案内役だが、立派な戦力として見られているのは今までと変わりない。

 セリスの言うところの作戦とやらを聞いておきたかったが、パティはどちらかというと戦の事は不得手である。どう言えばいいのかと声をかけられなかったのだ。

 結局何もわからないまま一日目は終わった。

 進んだ方向はほぼ真西である。





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