トップ>同人活動記録>FE聖戦 風パティ小説 INDEX>一 戦わぬ継承者 4
HOLPATTY 1-4 *
セリスがアルヴィスを討ち、シアルフィ城が解放軍の手に渡って祝勝ムードになったが、パティは城壁の陰に一人でいた。ファラフレイムのとばっちりをうけて服は煤けてしまっている。 セリスは聖剣と治癒の杖のおかげで負傷も少なく元気そうに動き回っていたが、他のみんなは、自力で帰ったせいで例外なく杖と薬の世話になっている。パティはひいきされたのかレスキューのおかげなのか、一切火傷はない。その上、大事な場面を色々ブチ壊したり、敵である皇帝と色々喋ったものだからどうにも出ていきづらい。 「別にいいけどね……」 ああだこうだと後ろ指さされることはすでに慣れている。ただ、結果的に自分が攻撃の口火を切ってしまって、みんなを逃がし損ね、あれだけの怪我人を出してしまったのかもしれないと思うとどうしてもメゲてしまう。 ほとぼりが少しでも冷めるまでは出ていくのをやめようと決めていたのだが、めざとい人というのはいるもので、あっさりとパティを見つけてきた。 「み〜つけた♪」 リーンが手首の連鈴を鳴らしながら近づいてくる。 「こんなとこでどうしたの?」 「一応、反省。……何反省したらいいか分からないけど。でも、ホーク様達怪我しちゃったし、やっぱりあたし悪かったんだな、とか。あんま考えないで、色んなこと言っちゃった気もしたし」 考えなしの行動の筆頭は、堂々と返してもらった銀の剣だった。あの分ではセリスもオイフェも受け取らないだろう。 扱いに困るといえば、アルヴィスから託された止め金と個人的な贈られ物の指輪もそうだ。パティは自分のことを棚上げにしておいて、デルムッドとナンナに親のことで刺激を与えるのは良くないのではないかと悩むのである。指輪に至ってははめるわけにはいかず、売るのは忍びない。捨てるなど論外だった。 「パティさ、アルヴィス皇帝と色々話したんでしょ。なんか武勇伝みたいに広まってるけど」 「武勇伝?」 「うん。結構すごいこと言われてるわよ」 パティは少し血の気が引いた。 「誰から聞いたの?」 答えは背後から返ってきた。 「僕だよ。会う人会う人に言いふらしてる」 セリスがスマイルをパティに振りまく。 「尾ヒレや背ヒレはつかないと思うよ。最初からつけておいたから」 とんでもない皇子様である。 セリスがパティの手を取った。 「パティ、行こう」 「……なんでセリス様が?」 「オイフェとシャナンとレヴィンが待ってるよ。報告会だって。 リーン、ご苦労様。見つけておいてくれてありがとう」 リーンはどうとも言えない顔でスマイル皇子と、抵抗するにできず引きずられるままのパティを見送った。 「あの子も大変よね……」 (一 戦わぬ継承者・了) |