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「Noise messenger[4]」4-1:2







 上空から戦況を俯瞰するミシェイルは、同盟軍の戦法に唸らざるを得なかった。

 少数の飛行部隊にせよ、各地に配置された急造であろう弓部隊にせよ、小賢しくはあるが有効に働き、実際にマケドニア王国軍を苦境に追い込んでいる。敵部隊の壊滅を計算できる場面ですら互角近くに持ち込まれた事もあった。

 もっとも、敵将マルスを討てればこうした事は全て些事になり、ミシェイルの狙うところでもある。精鋭の竜騎士団を本隊に集めているのもそのためだった。

 マルスが地上の騎馬部隊と共に陣を敷いているのは把握できているものの、アリティアの騎兵が竜騎士の力に均衡しているのと、隠れ潜む弓兵の存在を暴ききれていない。ミシェイル自身は弓矢の脅威を受けない加護を持つアイオテの盾を持っているからいいが、部下に同じ事は求められなかった。よって、突撃の命令を出す契機が訪れるのを待たなければならない。

 そこへ、敵の竜騎士隊がこの本隊へ接近してきているという報告が入り、ミシェイルの眉をひそめさせた。

「ミネルバか……?」

 同盟軍の竜騎士隊を率いるのはミネルバだけである。だが、ひとつの隊、わずか三百程度で本隊に接近するのが解せなかった。

 複数の伝令から敵隊の中にミネルバ本人の存在を確認できたため、ミシェイルは直属の隊を率いて本営を抜けた。

 竜騎士団の部隊が後を追いかけてくるが、ミシェイルはすげなく帰した。

「ミネルバが敢えて隊単独で来たのならば、俺も応えねばならぬだろうよ。

 心配しなくても、俺がミネルバ如きに負けることはない。

 王の戦いというものを見せつけてくれよう」





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