サイト入口同人活動記録FE暗黒竜




「Noise messenger[3]」3-2:4







 翌日、出立を控えたマチス達は、後続でやってくる予定だった魔道士達を見て驚いた。リンダとマリクが揃ってついてくるのだという。

 来るとは知っていたが、えらい奮発ぶりだった。

 反面、不安な部分はあった。

「ここの守り、大丈夫なのかよ。エクスカリバーで竜騎士牽制するんだったんだろ?」

「最悪の事態になったら、マルス王子には転移ワープで逃れてもらいます。実はそう言ったのが王子でして、ハーディン公とミネルバ王女をご自身で説得されていました。

 ただし、僕の起用はここへの牽制をいくらか兼ねられるものにしてほしいという本隊の要望もありますので、ご考慮ください」

 一方で、マチスの動揺を軽く誘ったのがリンダだった。

 今まで通り淡白に接すればいいというのに、妙に構えそうになる。

 しかし、そこは任務であるため、皆して配置だの役割だのの相互理解を深める中で普通に話すようになっていた。

「ここの到達点で離れますが、風の精霊の力を使って――」

「何、またあれに挑戦するの?」

「いえ、今回は地場が複雑なので」

「こうした事は貴方達だからできる事なのかしら」

「今回の事はマリクさんだけだと思います。わたしは、普通に前線補佐ですし。戦場ではまたお世話になるかもしれません」

「魔力増幅の修行中なのに、悪いな」

「いいえ、お役に立てるのなら喜んで向かわせてもらいます」

 ……等々。

 こうして今回はミネルバとマチス、マリク、リンダが西へ移動するのだが、主格たるミネルバは飛竜ではなく、騎馬に跨っていた。

 これはほぼ全員が意外な感想を抱いたのだが、そうした奇異の目に対してミネルバが言うには、

「私とてマケドニアの竜騎士。騎乗騎士として、あらゆる騎獣の訓練は受けています」

とのことだった。竜騎士のエリートぶりを痛感させられるのはこういう時である。

 そんな思いを抱くマチスをよそに、ミネルバが手元の紙を広げながら続けた。

「マリアから、卿へ伝言です。『もしかしたら上手くいくかもしれないから、楽しみに待っていてね』とのことでした」

「『楽しみに……』?」

「何か心当たりはありますか」

 昨日話した事があまりにも多くて探し出すのに苦労する羽目になったが、ようやくひとつ掘り出す事ができた。

 マリアはアイルとの和解が果たせないでいたのを惜しがっていた。自分だと時間がかかると言ったのを、もどかしく思ったのだろう。

 そうした内容を明かすと、あの子は優しいのですね、とミネルバは呟いた。

「そういう優しさもまた、わたし達の目指すところなのかもしれませんね」

 オーダインとの交渉を決裂させずに、マケドニアの新たな円環を成す。

 困難であると見えるだけに価値ある想像の図だった。

 そこへ目指すべく、ミネルバが声をかけた。

「――行きましょう」

 一同は新たな戦場へ向かって、騎影を連ね駆けて行った。





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