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「Noise messenger[3]」3-1:4







 マケドニア各地の上空には両軍の天空騎士が偵察に出ており、時々は彼ら同士で戦闘に至るため、境界線のわかりづらい縄張り争いのような様相を呈している。

 そんな中、西戦線に派遣されているペガサス三姉妹の偵察部隊は実戦に出る機会を相当に得ているため、天馬騎士が相手なら多少の劣勢でさえも跳ね返す力を持っていた。もっとも、敵の偵察隊には竜騎士もいる。目立ってしまっては本末転倒でもあるので、普通の偵察兵同様、戦果を求める戦闘を仕掛けるのは禁止されている。

 彼女達の長たるパオラ・カチュア・エストのペガサス三姉妹は、西戦線の補佐と共にマケドニア西部地方の奥まった地域にある三人の故郷を解放軍の側へ、あるいは中立に持ち込む任務に当たっている。そのためには、西の最前線をもう少し押し込む必要があるので、現在は西戦線の仕掛けどころを探る方へ注力している。

 解放軍の西戦線はロシェ率いるオレルアン騎馬隊が主力で、ペガサス三姉妹の部隊と後発から追いついたシーザが率いる傭兵隊が彼らを補い、調整役のような形でアリティアの兵士が若干数入っているという陣容である。

 敵方の数はさほど多くないと推測できたが、戦線の近くに既存の砦を持ち、上手いこと守りの戦いに持ち込まれてしまっている。マケドニアからの帰順者であるペガサス三姉妹が揺さぶりをかけても、事前の対策が徹底されているのか隙を見せることはなかった。

 そうした経過が数日続いた頃、前線の陣に三姉妹の偵察兵から上空の戦闘が激化しているため、応援を求めていると報せが入った。

 パオラは増援を派遣すると共に諸将と諮って原因を探り、ほどなくして結論を出した。おおよそ、西戦線の近郊に退いていたオーダインの騎馬隊が向かってきており、その情報を掴んだ解放軍の天馬騎士が多数の敵から追撃を受けているのだろう。

 オーダインが攻勢に乗り出せば、西戦線に動きをもたらす絶好の機会となる。三姉妹が力を得たのはもちろんだが、もうひとり並々ならぬ高揚感で、開戦を待つようになったのがロシェだった。

 彼にとって幸いだったのは、ロシェの騎馬隊が主力として対抗する方向性は変わらず、オーダインに迫って直接対決の好機を作るのが容易であると想定できそうなところだった。

 このように、各々の目標は多少違えど、この戦いは諸将にとって大きな意味を持つことになった。





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