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「Noise messenger[2]」 2-2:4






 東の戦線を南から睨み合う場所に解放軍の陣がある。

 基本的にはこれ以上攻め入られないための戦線だが、攻勢を見せて勢力図を維持する事も必要としている。

 ここに並ぶのはアリティア、オレルアン、解放軍マケドニア勢。構成比の関係上オレルアンが核となっている。

 この中にいる解放軍マケドニア勢は軽重歩兵隊で、この戦線で先日ティーザ郡の兵と交戦している。

 彼らは、その直後に城へ要請した増援の到着を待っていた。

「……俺としては、あまりあの部隊に手柄をやりたくないのだがな」

 歩兵部隊長がぼやくものの、重歩兵部隊長は仕方ないだろうと大きな肩をすくめた。

「ここの竜騎士団を効果的に除くには、騎乗の弓手よりも山あいで動ける猟師の方が有利だからな。正しく打って付けだろう」

 先日の戦闘を含め、攻めるに攻めきれない状況が続いて彼らは歯噛みしていた。

 ミネルバ側の存在感を示す理由もあってこの戦線に来ているが、この時点で大損害を被る事があってはならないと命じられている。よって、戦闘になっても早々に退却せざるを得ない。

 せめて竜騎士団さえいなければもっと形になる戦いができるのだが、オレルアンのホースメン隊は山あいの地形で動くのに苦心している。

 第一陣の中でそうした戦いを心得ている弓勢はマチス隊のホースメンしかいない――この時、第二陣は到着していなかったのである――。この隊は猟師出の人間が多いため、馬の自由がきかない場でも下馬して展開して対処することができる。

 今ひとつの危惧があるのはティーザ勢の存在で、バセック伯爵領の兵と対峙した時のマチスの動きが読めないという不安材料がある。が、これは竜騎士団への攻撃が終わったら退かせればどうにかなると踏んでいた。

 こうして現状打破のため増援要請の伝令を送り、先ほど本営から承諾の報せが来たばかりだった。

 この時に多方面の情勢も知らされ、西方は周辺領主に動きがあってにわかに戦線の変化が生じつつあるという。

 次の大規模な進撃の準備が整っていない段階で戦線の位置が変わるのは、解放軍にとって必ずしも良い事ではないのだろうが、戦の流れの上でそうなったのだから仕方がないのだろう。

 その伝令を見送ってわずか一刻の後に別の伝令が到着して、最南部の城に解放軍の第二陣が到着したと告げた。近日中に王都への進撃路を作るために本隊が動くのだという。それまでこの戦線は維持するように、という指示も下った。

これでは増援を呼んだ意味はほとんどない。マチス隊についてはどうするのかと訊いたところ、この戦線に留めておくようにとのことだった。

 それから遅れる事三時、夕方に近づく頃になってマチス隊が到着した。

 これが、敵陣営の行動に、ある事象を加えることになる。





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