図らずも事件の目撃者となったマチスは、今後の事やチェイニーに関する話を聞いたのちに、闘技場の外で部下達と合流した。

　カシムが犯人だと思い込む彼らに、チェイニーもそのひとりであるコマンドという集団の話をして誤解を解くのに労力を費やし、微力かもしれないが、本当のことを広めたいと頼んだ。カシムは自業自得と言っていたが、あんな濡れ衣で命を落としてしまうとしたら、あまりにも気の毒だ。

　そして、事件のせいで傭兵集めはそれどこれではなく、資金稼ぎも部隊の補充分には物足りない状態だった。

「闘技場で確実に儲けようってのが甘かったのかもしれねぇな」

　シューグが言うのに、同行の面々は同意する。

「命のやりとりをしているのだから、そこに乗る我々は心だけでも準じるべきなんでしょう」

　ホースメン副長の言葉が一同の心に重く響いた。