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「諸記 カシミア〜グルニア戦」 3-7






 グルニアの将軍ロレンスは懐かしい名前に思わず目を細めた。

 タリス王の元で厄介になっていたのは随分前で、最後に見た時の息女は小さい女子おなごであった。それが、グルニアの戦を収めようとこうして働きかけている。

 老いるはずか。時間の流れを強く感じて、ロレンスはため息をついた。

 それはさておき、これをどう処置するべきか。黙考する。

 グルニア王はドルーアを恐れて同盟を結んでしまった。残念ながら、グルニア転落は君主の誤った判断が産んだとしか思えない。だが、カミユはグルニアと共に滅びることを望んでいる。騎士としてはまっとうな考えだし、仕えるからにはそうあるべきなのだろう。

 あるべきと思う辺り、王が無条件の忠誠の対象から外れてしまっていることに気づき、ロレンスは自分の本音を強く感じてしまった。

 だからといって、ここで裏切ってしまっては日和見と変わらない。

 老骨を覚えていてくれた王女へ礼節と親愛を込めた文面をしたため、しかしながら、グルニアの将として国は裏切れないと締めて使者を帰した。





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