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「ENEMY IS D」 2-3







 ドーガは数人の部下だけを連れて玉座の間の裏にある回廊を進んでいた。

「王子さんを置いていっていいんですかい。ただのマムクートじゃないんでしょうが」

「臭うんだよ。下からここまで簡単に来られすぎた。いくら勝手を知ってる城でも、王宮の中心部に入るまで楽に行き過ぎている。そうしたら、玉座の間で妙な気配がしたんでな。この裏には仕掛けがないと思ったが――」

 と、曲がり角を前にドーガは足を止めた。

 身振りで応援を呼ぶように示して、自分は残りの部下と共に身を潜める。

 念のためにそっと先の通りを覗き見たが、すぐに首を引っ込めた。

 広くなった通路の先にはドルーアの兵がずらりと並んでいたのだ。

 見たのはわずか一瞬だったが、兵の数は軽く三百は越え、その後ろにもまだ後続が居そうな雰囲気である。妙な気配どころか、堂々とした危険信号だった。勝ち戦の雰囲気に騙されていたのだ。

 急いで後戻りしつつ、ドーガは回廊の最も細い部分、人が並んで五人通るのがせいぜいという幅の場所を選んで足を止めた。

「あいつらを止めるとすればここだろうな」

「退かねえというんですかい?」

「数が揃わないうちはここでどうにかするしかない」

 どうにか、と自分で言ったものの、あまりいい展望は望めそうにない。

 こちらはたった五人、玉座の間から人を回せたとしてもせいぜい十人。守りとしては重騎士の腕の見せ所と言いたい場面だが、あまりにも分が悪すぎる。

 他から応援が来るよりも、マルスがモーゼスを倒す方が先だろうからそれまで踏ん張れるかどうかだ。

「いいか、手前てめえら。あいつらは竜なんかよりずっとタチが悪い。
 生き延びたきゃ、気張れ」

 言って、兜の面頬を完全に閉めた。





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