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「00Muse」 1-1 |
(1) 街門を抜けてノルダの町に入ったマチスはほどなくある違和感にとらわれて、その足を止めた。 街門にいた同盟軍の兵士が深刻そうな顔をしているのに対し、ノルダの住民は家々の窓を開いて掃除をしたり世間話に花を咲かせたりしている。 辺りを一通り見回した彼の眉間には浅いシワが刻まれていた。 「なんか、聞いた話と違う気がするんだけどな……」 「ま、まぁこの北地区にはまだ現れていませんから。それに、長い間ここの人達はごろつき連中に怯えていたのですから、そいつらがいなくなれば家の外に出たくなりますよ」 不安そうに言い添えたのは、マチスを始めとする小隊の先導役に立った伝令である。なお、彼をパレス奪回戦の最前線から引きずり下ろす報せを持ってきたのも、この伝令だった。 「ともかく、南地区に行ってもらえればわかりますし、わたしの上官も居ますから。さ、行きましょう」 「……やっぱり、役に立てないと思うんだけどな……」 マチスの弱い呟きは誰の耳にも届かず、賑わいの中に消えていった。 |