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「BRAND」 3-7






 宿舎に帰り、降格の請願が却下された事とミネルバに忠誠を誓う決意を固めた事をマチスが話すと、第五騎馬大隊の部隊長達は一様に喜んだ。中には、手を打ち合わせて歓喜の表現をする者までいる。

「ま、丸くは収まったかな」

 その光景を見るマチスの目は、少し醒めていた。

 王侯貴族を避けようとし、実際に敬意を払わないからには、いつか事を起こそうという心積もりはあった。とはいえ、今のままの自分ではあまりにも力がないから、この戦争が終わってから色々と吟味してそれから時宜を得ようと、そんな風に漠然とした思いを抱く程度だったのだ。ミネルバと直接会うまでは。

 彼女と会って感じた懸念は、気のせいなのかもしれない。だから迷いもしたし、決心をした今でも(賽で決めたからというのではなく)多少の不安が残ってはいるが、後戻りをするつもりはなかった。

 マチスが血統社会に反する意識の最たる理由は、親の優れた要素が子に現れるとは限らない事を自分自身で証明していたからだ。

 ミネルバに忠誠を誓うといっても、心まで捧げるのではない。誰かの上にいる方が、懸念が当たっていた時にあるいは好機が訪れた時に、為すべき行動を起こすのに都合がいいからその姿勢を取るのことにしたのだった。





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