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「THE CALENDAR」 4-5






 騎馬第五大隊の野営地からワーレンに戻ったシーダは、常に本隊の最前線を追いかける形で移動していた。

 航行では妨害されてしまう海上でも上空ならその心配はなく、ワーレンから東の城まで陽が出ている間にたどり着けるとあって、本隊がカナリスを討った二二日に城で行われた軍議に参加できたほどだった。

 二四日の昼過ぎに同盟軍が西の砦を陥としたのを見届け、シーダはレフカンディの出口に居るはずの騎馬第五大隊の元へ向かっていた。隠していた現況を全て話し、明日から南下するハーディンらの部隊に呼応して動くよう伝えるためである。

 西の砦からレフカンディの出口へは直線距離としては近く、西進すれば天馬なら一時ほどで着いてしまう。その余裕もあってか、シーダはレフカンディとワーレンの境目の様子を見るために、弓に気をつけながら天馬を南に駆った。

 予想通りというか、隘路の前には一兵もなく、右手を少し行くと重装歩兵ばかりが南北一直線に隊列を取っているのが見えた。

「今度はこちらを塞いでいるのね……。確かに重装歩兵が相手じゃ、突破は難しいものね」

 ワーレンへ行く前にこちらを撃破した方がいいと、後で北の部隊に進言しようかと考えていたら、前方のグルニア軍がシーダの方を向いている(ように見えた)のに気づいた。

 待機中は全方向への警戒が当たり前だとはいえ、その様子が何か過剰に見えて用心深く近づいてみると、彼らは明らかにシーダを見ていた。

 試しに右の方に動くと、鉄の集団は重い鎧をものともせずに体ごと左を向いてシーダを視線で追ってくる。上官らしき兵だけが違う動きをしていたが――天馬騎士に気を取られる部下を叱り飛ばしているのだろう――他は全く例外なくシーダの動向に合わせて動いていた。

「……そんなに天馬騎士が珍しいのかしら」

 釈然としないながらもそう呟いて、シーダは岩山越え経由でレフカンディへと向かった。

 余談だが、シーダがグルニア軍の妙な動きを女性として恐れなかったのは、遠くにいたことや持ち前の天真爛漫さではなく、王女であったことが最も強く作用していたに違いない。





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