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「THE CALENDAR」 4-4






 七月二三日、総勢の三分の二を東の城に集めた同盟軍本隊は、ろくに手出しできなかった十日弱の分を取り返すかのように西への猛烈な攻勢を開始した。目標は二か所にあるグルニア軍の砦である。

 タリス勢と傭兵ナバールの部隊、他に歩兵が留守役となり、オレルアンとアリティアの騎士が出撃する。その数、三千三百程度。

 圧倒的数的不利の中で、タリスからオレルアンまで踏破したアリティア騎士の強さは、流れの吟遊詩人が歌にして讃えるほどの語り草になっていたが、この戦いを機にオレルアン騎士もその手の歌に名を連ねるようになる。

 小規模といっても、砦は立派な要塞である。それに抱えられた軍勢を打ち倒すには、少なくとも二倍、普通なら三倍以上の兵をもって臨むべしとされている。

 東側の砦には、重装歩兵と軍式弓兵の部隊二千五百が詰めており、守りにより適した編成だったはずなのだが、わずか四時で陥落した。

 もっとも、切り立った岩山を背にして廃墟に見せかけていたわけだから、人目につく南側、つまり、真っ先に砦そのものが攻撃にさらされる所は全くもって防御の役目を果たさず、砦の効果は半減していたかもしれない。

 そして、同盟軍が東の城から来たことも若干の動揺を招き、そこへ地力のある騎士達がなだれ込んできたことで勝敗はほぼ決したと言ってもいい。勢いと元々の実力をかけ合わせた凄まじい力の前には、半欠けの要塞など守りに値しなかったのだろう。

 そのままの勢いで翌日に西の砦を陥とした三千余の騎士達は、いよいよワーレンの前に陣取っているであろう四千(正確には三千)のグルニア軍と、野戦で決着をつけるのだと息まいていた。





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