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「THE CALENDAR」 2-6






 夕刻になってラディはまた町中を走っていた。

 今度は追われているのではなく、用事があってのことである。

 傭兵警備隊の詰め所に辿り着いて、真っ先にひとつの部屋に飛び込んだ。

「シーザ隊長、連中が動きました!」

「あの様子だと、ただの連絡役ではなさそうだな」

 ラディが言うべき先の言葉を三段階ほどすっ飛ばして、シーザは立ち上がった。

「交渉をわざとこじれさせたか、あるいは評判以上に同盟軍は費用に困窮していたのかもしれないな。だったらこれだけ早いのも無理はない」

「傭兵隊全体に招集をかけますか?」

「いや、それよりも同盟軍に俺の顔を通しておく。どちらに傾くかわからないがな」

「今からですか」

「明日の朝だ。どうせ、向こうは自分の目で見なければ信用しないだろうからな。そうしたければさせておけばいい」

 同盟軍が到着するずっと前から豪商の動きを探っていた彼らは、この地方に、すでに大きなものが蠢いていることを知っていたのだ。





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