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「THE CALENDAR」 2-10






 ダロスは同盟軍の騎士達に海戦の経験がほとんどない事を危惧していたが、もっと厄介な事を彼は見落としていた。

 船や物資が揃い、漕ぎ手も整ったところで、各船の連携を取れる人間がいないのである。さまざまな商人から支援を取りつけ、それぞれの船を取り仕切る船長がいても、これだけでは横のつながりはできない。かといって、同盟軍の騎士が務めるにはいずれも経験が不足しすぎていた。

 現在の同盟軍の人口比率はオレルアン七割、アリティア一割五分、その他の国の出身者が残り一割五分である。かつてのアリティアならば一通りの水軍を備えていただろうが、現在いるアリティア人の中に海事に精通している者はおらず、オレルアンは国内に幾つかの港は持つもののさほど大きくなく、外海に面する東側には一カ所もなかったため強力な水軍を持つ背景がなかった。そのため、ハーディンはアカネイア踏破にあたって海路を想定していなかったのだ。

 今のところアカネイア進攻路の結論は棚上げになっているが、ペラティがここに殴り込んで来ると、事によれば海戦を繰り広げなくてはならなくなる。同盟軍は港での迎撃を望むだろうが、ワーレンがそれを嫌がる可能性は非常に高かった。

 同盟軍内の『海の専門家』ダロスがこれに気づいてひとりやきもきする中、驚くべき提案をシーザがマルスの元に持ち込んできたのは、グルニアの襲撃表明から一日空けた七月一五日の日暮れ時だった。

「幸い、カナリスの居る東の城は手薄なままです。港から船を出して城を落とし、これを同盟軍の拠点にしたらいかがでしょうか。無論、我々もできるだけお手伝い致します」





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