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「ANXIOUS」六月の非賛襄3-1 |
(3) アカネイア王女ニーナはついに使われることのなかった一振りの儀仗剣をじっと見つめていた。 論功行賞に出なかったたったひとりの騎士には後日改めて忠誠の儀を執り行う予定だったのだが、襲撃事件のせいでその時間が取れなくなっていた。大勢の怪我人が出たことによる編成の変更などで、再調整すべきことが山のようにあるのだという。 どうやら、この件はうやむやになりそうな気配が強い。おそらくはそうなるだろう。その騎士は同盟軍の中では重要な位置にいないから、次の機会――アカネイア本国の奪回になるだろうか――が訪れる頃にはこのひとつの儀式が看過された事など忘れ去られてしまうだろう。 ただし、剣は雄弁に語っていた。 決して、彼女に従わぬ者がいる事を。 (六月の非賛襄:end) |