トップ>同人活動記録>FE暗黒竜小説「買い出し」INDEX>3-2
FIRE EMBREM 暗黒竜と光の剣 「買い出し」 3-2 ‐ * ‐ 翌日、割符を持って荷駄隊を訪れると、マルスとモロドフが居合わせていた。 というか、待ち受けていたような感がある。 その証拠に、持っていた割符を何も言わずに取り上げてきた。 「…………」 「間違いないね。……本当はこんなまわりくどいやり方をしたくなかったんだけど」 「……何がでしょう」 「今までの功績に何も応えていないと思って」 たいしたことはやっていない。そういったことを言い返すには、この場の雰囲気があまりにも悪すぎた。 言いようのない、不安にとらわれる。 「出せる物は多くないけど、ないよりはマシだと思って考えた」 マルスが差し出してきたのは、銅を薄く伸ばして板にしたものだった。色々と凹凸がある。 「これを持っている限り、ここから東のどこにでも送り届けると約束する。一番安全なのはタリスだろうね。同盟軍に残ってもいいけれど、貴族の身分は剥奪されたままだから身を守るのは難しいと思う。戦場なら、仲間が守ってくれることもあるけど、危険なことには変わりない。――ちなみに、掛けられている賞金の額は七五〇〇。たかが一騎士に掛けられるにしては破格だ。よほど、家と王家に嫌われたらしいね。覚えがなくても、ここまでやられるんだ」 「…………」 「言っておくけど、追い出そうというわけじゃない。役立たずなんて、どこにもいやしないんだ。ライブ一回分だけで兵士の大半が救われたんだ、感謝するよ」 一応、預けておく。マルスはそう言って板を渡し、モロドフと共にこの場を去っていった。 (「買い出し」end) |