トップ>同人活動記録>ELFARIA非公式ノベライズ[1] INDEX>1章 水の国カナーナ 4-2
ELFARIA [1] 4-2 * ユノの村からゾーラの姿が消えると、人魔は舌打ちをした。 「シーラル皇帝の使いっ走りのくせに偉そうに……」 文句を言いながら人魔が村の奥へと去っていく。 それを木の影から見届ける者達がいた。その数、四人。 「あいつがあの像を建てたのね……」と、ラゼル。 「なんか、(変な意味で)忙しい奴だなぁ……」と、パイン。 「何となく、哀れなような気もするがのぅ」と、ウッパラー。 「魔物にも色々あるんですよ、きっと」と、ジーン。 ゾーラについてひとしきり感想をもらすと、一同は揃ってため息をついた。 丁度良く魔物の隊長と、噂のゾーラがいたから隙を見て叩くつもりだったのだが、この距離から話(というか、ゾーラの独り言)はほとんど聞こえず、女性の像を建てて陶酔していたのを見て、何となく手を出すに出せなくなってしまったのだった。 ユノの村に来ているのはパイン達だけである。アルディス達はロス砦に控えていて、この場にはいない。 というのは、『水』や『火』といった力は伊達ではなく、特定の魔物に対して不利有利が生じるようになっている。ロス砦の攻略の際に判明した事だったが、アルディスは天魔の放つ風の魔法に対してほぼ影響がないのに、地魔の氷の魔法に対しては全く歯が立たず、頻繁に凍りついていた。 それで、これからはきちんと敵を知ってから考えてかかった方がいいと、今回のユノの村ではしっかりと下調べをした。そこで、ここにいるのが火の人魔だとわかったので、パイン達が攻めることにしたのである。火の人魔に火の魔法は効きづらいが、氷の魔法は効果てきめんなのだ。 だったら、アルディスとジェニスにだけパイン達についてきてもらうという手も考えられたが、人数が多くなると魔物に見つかりやすくなる不利と、もうひとつの理由があってそれは断念している。 もっと言えば、村の解放をロス砦に詰めている多勢のカナーナ兵士に手伝ってもらおうにも、彼らにはまず魔物の放つ魔法に免疫がなかった。これではどうしようもない。 だからといってユノの村のような小規模の集落がパイン達の手に余るわけではなかったから、不都合はない。 「じゃ、そろそろ行こうか」 「そうね」 昼間から始まったユノの村の解放は、その日の陽が沈む前に滞りなく終った。 |