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「諸記 カシミア〜グルニア戦」 3-10






 ロレンスが解放軍に引き連れてきたのは、グルニア城周辺を守る大重騎士隊の三分の一強。労せずして敵の戦力を削るには及第点と言えたが、日が経過するにつれ、ロレンスを追ってくる形で解放軍に下るグルニア兵が次々とやってきた。

 これに勢いを得て、解放軍は一気にグルニア城を包囲することにした。

 それと共に忙しくなったのがロジャーだった。彼自身は千二百の部隊を解体し、数十人の部下を抱えて情報面での補佐に徹していたのだが、グルニア人の支持も得ていることを示すために、グルニア人で構成された部隊を前面に押し出して城を包囲することになって、再び大部隊の長になったのだった。ちなみに、同じグルニア人の部将を務めているジェイクは戦車隊特有の役目に忙殺されているため、こちらには加わっていない。

 そうした状況の中、ロジャーはシーダによってロレンスと引き合わされた。相手は由緒ある家柄の出自で、将軍の位である。形だけであっても、一対一で話す機会などまず訪れないはずだった。

 よって極度の緊張を強いられたのだが、ロレンスは身分の差を気にした風でもなく、お互いシーダによって解放軍に引き入れられたということで、グルニアが帝国と同盟を組んでいた時よりも良くなれば、それはシーダのおかげになるだろうと笑っていた。

 振り返ってみれば、この場にいないジェイクもシーダが関わって解放軍に入っている。ロジャー個人としては、シーダの生きる信念に惹かれてここまで至っているつもりだったが、今までの積み重ねがグルニアをぎりぎりのところで踏みとどまらせようとしているのだ。そう思うと、自分をうまいこと運命の歯車に当てたシーダには畏敬の念さえ抱いてしまう。

 戦争が終わった後もシーダがグルニアに関わってくれれば、色々ともしかするかもしれない、などと想像してみたが、そのためには最後に残る最大の難敵をどうにかしなければならない。

 どうにかできれば、の話ではあるが。





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