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「ENEMY IS D」 0-3







 一方、髭の武人ことボルポートが宿舎の奥に戻ると、マチスが紅茶を飲んでいた。その左手には包帯が頑丈そうに巻かれている。

 派手に叩かれて赤くなっていたのを冷やしただけで放置し、一向に治らない風情をレナにめざとく見つけられ、小言をくらいながらてきぱきと薬を塗られて仕上げに包帯を巻かれてしまったのである。ボルポートが笑っていた真相はこの事だった。

「レナは帰ったか」

「はい。それと、白騎士団のパオラ殿が見えられていましたよ」

「へ?」

「ああ、妹君に会いに来られたようです。共に出てゆかれました」

「……。何つーか、色んな付き合いがあるんだな」

 パオラはミネルバ第一の部下を自認しているだけあって、マチスとしては近寄りがたい雰囲気を感じるばかりである。美人の部類にも入っていて、見ているだけなら良さそうでもあるが、女性がこちらに興味を示さないのは長年の経験で実証済みだった。

 女同士の付き合いはよくわからないけどレナと親交があるのなら、よほどの事がなければ怒らせないようにしようと、それぐらいに思ったのである。





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