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「00Muse」 3-4




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「髪を洗おうとして貯水池に落ちたなんて、坊やが初めてだね。当分は語り草になっちまうよ?」

 にんまりと笑った中年女に、少年はひたすら恥じ入るしかなかった。

「そう言わないで下さいよ……。上官や同僚に知られたらどんなにからかわれるか」

「ま、いいけどね。坊やはかわいいから黙っといてあげるよ。ところで、服は乾かないけどいいのかい?」

「持って帰ります。あと、この服の代金は絶対に……」

「いいよいいよ、どうせおっ死んだ亭主の物だから。展望ある若者が役立てた方がいいのさ」

「本当に……ありがとうございます。では、もう戻らないといけないので」

「ああ、気をつけてね。戦争が終わったら遊びにおいでよ。アカネイアの兵隊さんなら尚更さ」

「はい。必ず行かせてもらいます」

 夜の町に少年が出ていくと、中年女はもう一度笑ってみせた。

「内緒にしてくれって言われたけど、アンナくらいには喋ってもいいやね。あの娘は無理してるからたまには笑わせてあげないと」





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