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FIRE EMBREM 暗黒竜と光の剣 「買い出し」 2-4 ‐ * ‐ トーマスとマリアに見送られる形で、マチスはミディアについて外に出た。 ふたりに来ないのかと訊くと、やはり煮え切らない感じで来ないのだと言ってきた。 まずありえない組み合わせ……というか、アストリアに見られたら殺されるんじゃないかとかどうでもいいことを思いながら、表面上は黙ってついていく。 やがて、たどりついたのは円筒形の大きな建物だった。 思わずマチスは呻く。 「これ……闘技場じゃねぇの?」 「そうよ。それ以外の何に見えるわけ?」 冷たい口調は健在である。 「ど〜してこんなとこに……」 「稼ぐために決まってるじゃない。はい、あとは頼んだわよ」 有無を宇和セルに、ミディアは剣を手渡してきた。 剣を持たされたまま固まるマチスの脳裏に浮かぶのは無数のクエスチョン。 その中でひときわ大きいのが『なんでこんな事に?』と『ど〜しておれなの?』である。 それに応えようとしているのかどうかは定かではないが、ミディアが話し出す。 「カイン殿から聞いたけれど、ゴールドの損失のみの場合は自分で弁償するとマルス王子に約束したそうじゃない」 約束したと言うより無理矢理そうなったのだが、そうと言えなくもない。 言い返せずにいると、ミディアは引き続いて言ってくる。 「グルニアの敗残兵に通行料を払ったのと、宿代で合わせて七四二ゴールド。一回勝てばどうにか返済できるわ」 「――あの」 「何?」 「それ、おれじゃあできないと思うんだけど……」 「一応フォローするけど、わたしは反対したのよ。無理に決まっているからって。正確に言えばひとりが賛成、ひとりが棄権、残り全員は反対」 「は? それじゃあ……」 「多数決なら却下ね。でも、賛成したひとりが珍しく力説するから、それに賭けてみようということになったのよ」 応援されているのか、危険に突き出されているのか、ともかく迷惑な話だった。 「誰がそんな事言い出したんだよ……」 「答えてもいいけど、わたしからも訊きたいわね。マケドニアから寝返る前はまがりなりにも騎士をやっていたくせに、同盟軍に入ったら完全に後ろに下がったというのはおかしな話じゃない?」 「そりゃ、みんな強いから……」 そう言うと、ミディアの眼がさらに冷たく光る。 「そう言っていたいなら、せいぜいそうしてなさい。 |