トップ同人活動記録ELFARIA非公式ノベライズ[1] INDEX>1章 水の国カナーナ 4-9



ELFARIA [1] 4-9




「また勇者達が現れただと!? どういう事だ!」

 帝都エルファスでは、ゾーラの報告に人魔宰相ダルカンが腹を立てたように怒鳴り散らしていた。

 ゾーラは平身低頭して、上目遣いで告げる。

「そ……それが、十五年前と同じ出で立ちで……」

「同じ勇者達だと?」

 低頭して報告を続けるゾーラを、人魔宰相は笑い飛ばした。

「ハハハハ、寝ぼけるなゾーラ! 奴らはシーラル皇帝がザザ寺院で滅ぼしたんだ!

 下手な言い訳はもういい。カナーナは陥ちたぞ! お前は何をしていた!!」

 びりびりと空間を震わせる声が、更にゾーラを圧迫する。

「わ……わたしは魔物達の配置を……」

「お前がウロウロとエルフの石碑めぐりをしていたと、報告が届いているぞ!」

「ダルカン、そうゾーラを責めるな」

 いきり立つダルカンをシーラルが止める。

 自分の言葉を確かめるように、皇帝はゆっくりと言った。

「ゾーラは二度と同じ失敗はせぬ……。そうだな、ゾーラ」

「は、はい!」

 体を縮み上がらせるゾーラに、ダルカンが怒鳴った。

「ゾーラ、フォレスチナは大丈夫だろうな!」

「は、はい! よりすぐった魔物を配置しております」

 これ以上ないほど頭を低くしてゾーラはその場をやり過ごすと、シーラルの前から下がりそろそろと玉座の間を後にした。

 シーラルに声の届かない所まで来ると、ゾーラはひとしきり悪態をついた。

「クソッ! 偉そうにシーラルめ! 威張っていられるのは誰のおかげだ。ダルカンなどエルファリアの裏切り者のくせに!

 ふたりとも今の地位を得たのはこのゾーラのおかげだ! 儂の魔物を生み出す魔法のおかげではないか!」

 ぶちぶちと愚痴をこぼしても、ゾーラの苛つきは収まらない。

 そこで、彼はストレス解消に乗り出すことになる。

「クソッ! 悔しいからここにリシアの像を建てていこう!」

 手馴れた構えで印を切ると、たちまちのうちに、ハンブやユノで作ったものと同じ像が現れた。

 力の衰えた魔法使いは、リシアの像を陶然と見つめる。

「リシア……。……。はぁ……」

 愛しい貴婦人を眺めていても、出てくるのはため息ばかり。やはり慰められないかと肩を落としたが、ふとある事に気がついた。

「そういえば、昔に較べて魔物の力が衰えているような気がするな……。シーラルの力が衰えているのか?」

 という事は……と、ゾーラは考え始めながらエルファスを後にした。





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