火の国ムーラニアの王都を足がかりとしたシーラルの躍進は、隣国エルファリアの軍勢も阻むことはできず、またこれにエルファリアの将軍ダルカンの裏切りも拍車をかけて、エルファリア国全土を魔物が覆い尽くした。

　一時はシーラルに対抗する勢力が各地にいる魔物を蹴散らしてシーラルを追い詰めたこともあったのだが、シーラルはザザ寺院で古代の殺戮王エルザードの力を得た後だったため、彼らはあえなく敗れ、ムーラニアとエルファリアは再び魔物の支配下に置かれることになった。

　その後皇帝となったシーラルは、エルファリア領を併呑してムーラニア帝国と称し、土の国フォレスチナへと攻め入った。が、国内に抵抗運動が始まったことやフォレスチナの頑強な守りによって、小競り合いは十五年も続いた。

　しかしこの図式も永劫には続かず、獅子の年の土の月にフォレスチナの王都フォーレスと、かの国の守りの要であるラダ砦が相次いで陥落したのだった。

　そして帝国の手は世界の最西の国、水の国カナーナに及ぶこととなる。