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HOLPATTY 6-7




「持つものは友達とは良く言ってくれるわねぇ。付き合わされる方の身にもなって欲しいもんだわ」

「でも、セリス様とパティの結婚式だなんてゾッとしないだろ?」

「それはそうだけど……」

 バーハラとヴェルトマーをつなぐ街道を騎馬で駆けるのはデルムッドとナンナの兄妹であった。

 皆より一足先に戻る許しを得たのだが、実はパティの保護&逃走の手助けだった。

 ただ、これはパティに請われたのではなく、自発的な行動である。

 セリスの熱烈ラヴラヴアタックはもはやシャナンとオイフェが止めきれるものではなく、射程範囲内にいればすぐにでもパティを捕まえようかという勢いだった。

 しかし、相手のパティを始めほとんどの人が賛成していない。理由としてもっともらしいのが、パティ本人が嫌がっているからだが、多くの者は王妃に不向きであると本音として思っている。パティがこの声を聞いたとしても納得しただろう。

 ともあれ、友人代表としてこの兄妹がこの犯罪に加担することになった。応援の数もまた多い。

「やっぱり、お人好しね。セリス様に散々言われたのに懲りずにやってるんだから」

 ナンナが、バーハラの郊外でパティ達をせっせと飛ばし終えてから、セリスがくってかかってきたのだ。曰く、僕の大事な人に何をしたんだの一点張りだったのだが。

 ちょうどリターンが壊れたからよかったものの、回数に余裕があったら、間違いなく使わされていただろう。……もっとも、行き着く先はシアルフィだっただろうが。

「そう言うなよ、繋いでくれた恩を返すと思えばいいんだから」

「それはそうだけど……。
 そういえば、パティ、まだみんなにお別れ言ってない、って言ってたわ。もしかしたら、賢者ホークにも言ってないんじゃないかしら」

「それはちょっとまずいな」

 可哀想だよな、という声をデルムッドは飲み込む。

「俺、引き返そうか?」

「そうね……でも、ちょっと無理みたい」

 後ろをちらと見たナンナが苦笑する。

 いつぞやかのように、また立派な白馬らしきものが土煙をあげて近づこうとしている。

 その影は小さいが、このままでは確実に追いつかれる。

「誰かが間違えて喋ったかな……」

 兄妹がパティの行方をつかめたのは、リンダからの情報だった。アミッドがフェミナと色々とやりとりをしていたのを聞いて、今ごろなら目的地に着いているのでは、と。

 リンダが口を滑らせるとは思えないが、他の誰かが聞いたのを運悪くセリスに吐かされたとしてもおかしくない。

「とりあえず、急がないとね」

「全くだ」

 二頭が加速し始めたその上空で漂うファルコンが、その様に反応したかのように教会の方向へと飛んでいった。

 そして、彼らの行動の全てを見届けるように、街道から外れたところでエーディンが無言で微笑んだ。

 本当に困ったものね。誰に似たのかしら、あの子は。

 ……そんな表情を浮かべていたかもしれない。


(六 物とのつきあいかた・了)





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