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トップ>同人活動記録>FE聖戦 風パティ小説 INDEX>四 初対面の言葉 5
HOLPATTY 4-5 * 翌朝、パティはフォルセティの魔道書を開いた。間違ってフォルセティと言わないようにしているのか、必死に唇を一文字に結んでいる。 ユリアの体調がすぐれないことから出発がこの日の夕刻近くになり、暇を持て余していたのでフォルセティと向き合うことにしたのだ。 人気のない所を選んで、パティは読めもしない本と睨み合いをしていたのだが、こういう時に限って人というのは来るものである。 後ろからの気配を認めて魔道書を閉じると、極力音をさせずに息をついた。 そうして振り返った先にはアレスが来ていた。 「こんなとこまでどしたの?」 そうパティが言うのも道理で、今いる所は許可を得ないと来れない城のバルコニーである。 「セリスがお前を心配して捜していた」 「……連れ戻すつもり?」 「たまたま聞いただけだ。 「そう、なら助かるけど」 パティは魔道書を慎重に仕舞いながら、じゃあ何でここにいるのかという思いを強くした。 アレスはパティの横に座り、腰の魔剣を鞘ごと抜いた。 「フォルセティを使わないと聞いているが」 「使うことはできるけどね」 「だったら、どうして使わない? 本当の宝の持ち腐れだと思わないか」 「あたし、騎士じゃないもん。できるなら戦いたくないと思ってるし」 フォルセティばかりでなく聖戦士の武器の威力はどれも凄まじい。パティが使いたくない理由はそれに尽きる。 「その力がお前の望む『戦わずに済む』世界の実現を近づけるとわかっていたとしてもか」 「……それってやっぱり騎士が考える事だよ。それがいけないって言うつもりはないけどあたしはできない。ポンって与えられた物を使うのは悪くないけど、それでも限度があるよ」 「人の力を超えるからか」 「そんなとこ」 何が言いたいのかとパティは訝しむが、それをよそにアレスが魔剣を手に立ち上がった。 「いつか俺やセリスとかの行いが間違いと言われる時が来るのだとしたら、お前のような奴がそう言うのだろうな」 そう言って立ち去っていった。 (四 初対面の言葉・了) |