マルス　アリティア王子

　ガーネフ討伐によって神剣ファルシオンを取り戻し、ドルーア進攻においては以前にも増して総大将らしからぬ突出ぶりを見せるも、神剣の力によって人間の剣や槍が全てマルスに届かず、竜に対しても圧倒的な威力を誇ったため、手のつけられない強さを発揮した。

　ドルーア城戦においては南中央区画から攻め進み、城内に入った大陸屈指の勇士達と共に戦争中最大の猛攻に打ち勝ち、神剣ファルシオンを以てメディウス封印を成し遂げ、暗黒竜による大陸征服の野望はここに絶たれることとなった。

　アリティアに戻り、無念に倒れた父王や母に国の復興を強く誓い、諸方面に通じる臣下を選別して対策を採り、あるいは思索し、足らぬ面へ仰げる協力を模索する――そういった日々を送っている。早いうちに王の戴冠式をと周囲から求められており、自身もその必要を認めているが、アカネイアに続く時期に行うのが良いだろうと考えている。

　ふと、彼はこの平和を得るために振るった剣を振り返り、しばらく見つめた。

　竜に対する絶対的な威力を誇っただけではなく、剣や槍を一切通じなくさせた神剣ファルシオン。これを正しく使う事こそが大陸を守る者の責務、と再認識した。

　神剣の使い手たるこの王子の名は、大いなる存在として歴史書に記されることになる。