トップ>同人活動記録>FE暗黒竜小説INDEX>諸記 カシミア〜グルニア戦 3-9
「諸記 カシミア〜グルニア戦」 3-9 |
* 困惑する部下が連行してきた天馬騎士の少女を見たロレンスの心中には、奇妙な感慨が訪れていた。 タリス王女を名乗る少女が自分に会いに来たと報された時点では驚愕したのだが、来るべきものが来たとも感じていた。そして、この思い切った行動力は父王を彷彿とさせる。美しくなった少女とはいえ、その中に敬服するものが宿っているところは、見事に親子で共通していた。 少女――シーダの身体を自由にして、まずは粗雑に扱ってしまったことを詫びた。シーダは仕方のない事だから気にしないでほしいと首を振り、改めて再会の挨拶を交わした。 それからすぐに本題に入り、シーダは数年前タリス王に充てた手紙の事に触れ、ロレンスがドルーアとの同盟に反対していた意思が今も続いていることを確認すると、それならば、ドルーア打倒のために力を貸してほしいと強く訴えてきた。 グルニアがたどる運命はほとんど決まっている。あとは程度の差でしかない。仕えてきた国を裏切るのは辛いところだが、国を守る意味を考えると、滅びに殉じるのは矛盾でさえあった。それに、一国の王女直々に足を運ばせておいて、何も持たせずに帰るのは気が利かないというものだ。 多少の心残りを覚えつつも、この老いた身で良いのならばできる限り力を貸そうと請け負った。 |