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FIRE EMBREM 暗黒竜と光の剣 「買い出し」 2-6 ‐ * ‐ 「七五〇ゴールドなら……まぁこいつだな。あと、得物を見させてもらうぜ」 闘技場の受付の眼帯の男は、早々と手続きを済ませていく。 「……まぁ、そこそこだな。使っていいぜ。 だから、こうしているのだと言う男にマチスは頷きを返すだけで控室に入った。 頭の中では逃げないとまずいとわかっているくせに、動く方には全くその気がなかった。 戦いたいのではない。むしろ、その逆である。 ――動かないのは、簡単に言えば諦めであった。 「なぁ、あんた死のうとしてるのか?」 受付の男が入口に立っていた。 「昨日、王都が戻って国中でお祝いしてるっていうのによ。そんな時にこんな所に来るなんてさ」 「……借金の肩代わりだよ。死にに来たわけじゃないけど、勝つ自信はない」 「だろうな。剣はともかく……」 あとは言わずもがな。騎士であるだけに、それなりの体格はあるが、戦いにあるような者の風格がない。 「…………気を遣ってくれるのは嬉しいけど、行かないと帰れないんだ」 帰れる保証はないけど、と心の中で付け加えた。 |