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FIRE EMBREM 暗黒竜と光の剣
「買い出し」
1-5





  
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 二刻後、マチスはゴールドを預かる役人に許可証を見せてゴールドを受け取った後、ロジャー達の所に寄った。すでに三人が荷台を取り付けていてくれて、彼らに礼を言っていると、カインが幾人かを連れてやってきた。

 カインは自分から人集めをかってくれたのだった。

「御者台にふたりは乗れるだろう?」

 と言ってきたようにカインの他には八人がいた。

 主に手綱を握るのにカチュア、トーマス、ミディア。護衛としてカシム、リンダ、ラディ、ナバール。

 見事なまでの多国籍ぶりである。

 そして、最後に現れたのはマリアだった。

「皆さんに何かあったら治させてもらおうと思って」

 さすがにこれは思い止まってもらったほうががいいと止めようとしたのだが、マリアは引かなかった。

「他の方は行けないのですから、わたしが皆さんにつくんです……この中の誰かに何かあったら、それは悲しいことですから」

 体力がないことを理由に『奥』では休んでいたことが多かったのだという。

 それでも、顔色はいいとはいえない。いつものマリアなら、こんな気遣った言い方はせずに明るく振る舞うはずだった。

 それが、必死に装っている。

 これは承知の上で同行させることに決めたのだろうと思い、このことは封じてマチスは改めて錚々たるメンバーを見た。

 と、そこへ茶々が入る。

「あらかじめ、あんたが押し付けようとしても無視してくれって言ってあるからな」

 言ってきたのはカインだった。

「……あのさぁ、おれ何か言ったか?」

「大方考えているのはそんなところだろ?」

 図星とも言える。そうでないとも言える。

 マチスはこの時はただ、みんな自分より強い人だよなぁ、と思っていたのだが。

 何とも理解されにくい男である。





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