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スンガ滞在 相変わらず「前線」の協力者が民間から現れないことからストレスを溜めたラゼルは、憂さを晴らすべく倉庫をあさっていたが、対人魔戦で消耗した物の補充もままならないばかりか、ろくに物がない。どうせ3日間は動静の変化のしようがないと踏んで、野生動物(もちろん魔物も)があふれるガルの山へ行ったのである。 その際、1人ではヤバそうだからとパインを誘おうとしたらしいが、偶然顔を合わせたのがウッパラーとアーバルス。魔法の遣い手が2人もいればどうにでもなると判断したラゼルは、その場で二人を説得して行ったのだ。 これらのことがジーンとジェニスのわかる範囲でパインとアルディスとファーミアに説明された。 「多分、今日の夜までには帰るものと思われます。書き置きがありましたから」 その内容を要約すると『ガルに行ってくるけど、ちゃんと帰ってくるから』、とだけ。 「ラゼルの言うことは4割くらい引いた方がいいな。明日の朝全員がそろってたらいい方だよ」 さらにパインに言わせると、15年間も共に暮らしてきたのだから常識の範囲内だということになる。 追いかけても仕方がない、と全員一致の判断で進行役がファーミアに変わる。 「 でも……」 「何? わかることは全て話してほしいんだ」 「しるしというものは触れられても、取り扱うことはできないもののはずとして通っています。当然、例外の片もおられます。現にここにお二人――」 パインとアルディスが同時に顔を見合わせた。 「そうです。おそらく間違いはないでしょう。しかし、1人が付け替えられるしるしはひとつ。でも、四つの国全ての聖地が付け替えによって崩れてしまっているのです。おそらくたったお一人の仕業。かなり特殊な方でしょうね……」 表現をやわらげているものの、そこには魔物の力を付与した人間の存在をほのめかすようであった。実際にはそうだったのだが。 じゃあ、ひとつ訊きたいんだけど。と、パインが断りを入れる。 「僕やアルディスさんは魔物と同じってことなんだ?」 他約一名を除き、一斉に血の気が引いた。 「パインさん、そんな……滅多なこと言わないでくださいよ。どう見たって人間じゃないですか」 「ジーンさん。今まで戦ってきた連中の中には、形だけは人間にそっくりな奴がいたことを忘れてませんか? それに、人間から魔物になった帝国の幹部は人の姿を留めたものもいる」 |
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