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漫画版・コロコロコミック版

月刊コロコロコミック増刊号・スーパー新年増刊号(93年)に掲載されました。
原作：あだちひろし氏　作画：運馬武男氏（攻略本の漫画と同じ人です）

打倒帝国のために立ち上がったパイン達がその途上でジェニスと出会い、
スンガ町でダークウォリアを倒す話です。
読み切りという形態の都合もありますが、原作とは違う点の多い作品になっています。

＊ストーリー紹介と後編扉説明の文章について、
画像をいただいた匿名希望様がサイトに掲載されていた文章をそのまま使用しています。

＊掲載誌が右開きの雑誌であるため、
このページは複数の画像が横に並んでいる場合、右から左へ流れる形にしています。
画像が二段以上になった場合、順番は逆になりますのでご了承ください。

表紙：パインが前面におり、後ろに剣を持ったジェニス・ジーンがいる。
右には杖を構えたウッパラー・魔法使用中？のラゼルがいる。
その背後には斧を持ったシーラルがいる。

今から１５年前、世界は平和であった。
火の国ムーラニア、水の国カナーナ、土の国フォレスチナ
そして、風の国エルファリアでは、国王ジョゼルとエルフの女王リシアの
結婚で、国中が喜びに満ち溢れていた。

だがムーラニアの皇帝シーラルが１冊の魔法書を入手した時から、
平穏な日々は終わりを告げた。シーラルは魔法によって得た
無敵の体と、魔法によって生み出した怪物たちにより世界を支配した。

勇者パインたちは旅を続けていた。
メンバーは僧侶ラゼル、剣士ジーン、魔法使いウッパラーの４人。
ウッパラーは戦闘後、モンスターが持っているアイテムを探していた。

ラゼルはパイン１人に戦わせて…と愚痴りジーンに突っ込まれる。
「オヤオヤ…。ラゼルはパインのことになると急に熱心になるな！」
彼女は幼馴染として心配しているらしいがムキになって怒る。

ウッパラーはハーブと剣（ソード）を発見したのでパインに渡す。
これでメルドができるぞ、と。
ウッパラーは呪文を唱え、剣をメルドしてパインの剣はレベルアップする。

パインが旅立ったのはちょうど１ヶ月前…
その頃に比べるとずいぶん男らしくなった。
あの日から１ヶ月―

パインはエルフの像に挨拶する。
このエルフの像の前に来るとパインは妙に落ち着くのだった。

一方ラゼルはイライラしていた。
シーラルの軍が村の近くまで侵略してきているというのに、
今日もエルフの像に会いに行っている…
ウッパラーは石像にやきもちを焼いているのでは、と指摘すると
全力で否定するラゼル。
ウッパラーは真剣な顔で、母の顔を知らないパインにとっては、
あの像が母親代わりなのだから、とラゼルに言う。

（パイン視点）
像から声が聞こえる。
―今から出会うエルフの少女の導きに従いなさい、そうすれば
あなたは自分の運命の扉を開くことができるでしょう。
パインは像に問いかけるが返答はなく、代わりにエルルと
名乗るエルフの少女が現れた。エルルはパインを
シーラルを倒すために選ばれた１６人の勇者の一人だと告げる。
『エルフの血をひく聖なる勇者、仲間の力をその剣にたばね、
悪しき闇を打ち倒すべし』と伝説にある。
エルルはパインに世界を救うよう、そして冒険により
本当の両親は誰か知ることができる、と言った。
それだけ言うとエルルは消える。
そしてパインはウッパラー博士たちと共に旅に出た。

ラゼルが森の奥にいる何かに気づいた。
怪物（モンスター）かと思ったが、森から出てきたのは
スンガ町の騎士団のジェニスだった。
勇者たちにお願いがあってきたと言う。

一方、シーラル皇帝のいるエルフアス城。
エルフの女王リシアの子供が、自分を倒すために旅をしている
という事実を知ったシーラル。
ダジオン兄弟？がパインが仲間を探し出す前に殺して
しまった方がいいという提案をし、宮廷魔術師ゾーラが
パインたちはダークウォリアが支配するスンガ町に向かっているから
安心だ、と伝える。
シーラルは安心するものの、念のためゾーラにパインの最期を
見届けるように言うのだった。

パインたちはジェニスから、シーラル軍はカナーナのはずれの
スンガ町まで占領しているという事実を聞いた。
ジェニスたち騎士団も必死に戦ったがダークウォリアに敗れる。
ダークウォリアは、全ての攻撃を跳ね返す暗黒の騎士。
その鎧にはどんな攻撃も通じない。
ジェニスの騎士団も剣とヤリでも歯が立たず。

ウッパラーは心当たりがあり、スンガ町の酒場に魔法大学で
同期だったクルトンという男がいるのだが、彼は大学の本を全部
読んでいるらしくダークウォリアの弱点を知っているかもしれない、
と言うのでスンガ町に向かうことに。

ウッパラーはダークウォリアとの戦いで生き残ったものは何人
いるのか、と聞くともじもじしながら
「はあ…。わたしの他には３人…です。ただ、
その中にアルディスっていう、こまったのが１人いますが……。」
と言われて呆ける４人。

スンガ町はシーラル軍に支配されていた。
村人たちの多くは逮捕され、連行されていく。
パインは怒りを抑え、ダークウォリアの弱点を探す。
必ず後で助けると決意して。

クルトンの酒場では、久しぶりにクルトンとウッパラーが再会した。
再会を喜び合う２人。
残念ながらクルトンも弱点は知らないらしい。
エルフたちの古い書物には載っていたらしいのだが、
シーラル軍が焼き払ったようだ。
絶望するパインたち。

そんなパインたちにダークウォリアに勝つなんて無駄だと言う男
がいた。男は相当酔っ払っており、空き瓶が沢山転がっている。
この男が噂のアルディスで、診療所から抜け出してここで
こうして酒に溺れているらしかった。

激怒し近づくジェニス。
ジェニスはアルディスに平手うちをくらわした。
「見苦しい所をお見せしました。もう彼にはかまわないでください！！」

パインは情報が欲しいので、ダークウォリアと闘ったときのことを
たずねるのだが、アルディスはその時のショックを思い出して
動揺してガチガチ震え出す。
クルトンは力になれなかったことを侘びる。ぶるぶる震える
アルディスを置いて勇者たちは酒場をあとにした。
パインは去り際に
「アルディスさん！あなたが本当の騎士なら、
いつかは立ち上がってくれると信じてます！！」と言い残した。

ダークウォリアの拠点に乗り込もうとするパインたち。
今なら仲間のファミアとアーバルスが見張りの兵士を、
魔法で眠らせているらしい。
パインたちを天空から見下ろしているゾーラは、ダークウォリアの
弱点も分からず突入するパインたちのおろかさをあざ笑っていた。

クルトンの酒場に残ったアルディスは仰天した。
突然エルフの少女が現れたのである。
オレを殺しにきたのか、と怯えるアルディス。
エルルはとんでもない、現実から目をそらしているあなたに
真の勇者の姿を見せに来たのです！と笑う。

嫌がるアルディスだが、エルルに手をかざされると
パインたちがダークウォリアと闘っている映像が見えた。
苦戦していた。やはり鎧が硬すぎてダメージが与えられない。
アルディスは衝撃を受ける。
「なんてこった。あんなガキやジジイが…。ばっか野郎が〜〜。
勝てるわけねェのに…」

しかしエルルはアルディスの言葉を否定する。
オーガのツメをパインに渡し、パインの剣とメルドすれば、
『ウォリアがため』という特殊攻撃ができる。
ウォリアがためにより、ダークウォリアを封印することが
できるので、勝つ方法はある、と。

アルディスは迷った。ダークウォリアに傷つけられた恐怖は
いまだぬぐえないが、このまま負け犬で終わっていいのか？
決意し、包帯を引きちぎるアルディス。
「ちいッ！！くそったれがぁぁ！！」
「わかった！！オレが持っていってやる！！」
「いいのですか、アルディス？あのダークウォリアと
再び戦うことになるのですよ！！」
アルディスにはもう迷いは見られなかった。

「へッ！！あんなガキやじいさんや女のジェニスまで
戦ってるんだ！！オレも騎士のはしくれ！！まだ間にあうのなら
誇りのために死にてェ！！」
エルルは笑顔で移動の魔法を使い、宮殿の中に
アルディスを送り出す。
―選ばれし勇者に…、祝福あれ！！

ダークウォリアの一撃がジェニスに迫っている。
ジェニスは死を覚悟した。
それを救ったのはアルディスだった。

ぎりぎり間に合ったアルディスはダークウォリアの剣を押し戻し、
パインにエルルからもらったアイテムを託す。
パインがメルドすると剣がパワーアップした。
その剣でダークウォリアを封印するように言うアルディス。
パインはダークウォリアを封印することに成功する。
しかし、ダークウォリアは弱点を克服しており、無敵の状態
であった。パインはじき飛ばされる。

絶望の中、エルルの言葉を思い出す。
エルフの血を引く勇者、仲間の力をその剣にたばね、
悪しき闇を打ち倒すべし。
パインはみんなの武器を全部メルドするように叫ぶ。
みなはメルドと叫んだ。
その瞬間、パインの剣に力が集まり、１つの武器となった。
真の勇者なら、みなの力を集めた剣を使いこなすことができるはず―

パインは剣を振りダークウォリアを真っ二つにした。

パインたちは勝利を喜び合う。アルディスのお陰で勝つことができた、と。
ジェニスとアルディスも勝利を喜び合っている。
「やっぱりきてくれたのね……、アルディス……。」
「い、いやぁ。別にたいしたことしてねぇし…。」

「ううん！！アルディスはやっぱり本当の騎士よ。」
「へへっ。そ〜か〜？いやははは…。」
そして寄り添う２人。
パインたち「あ〜、ばからしい！！」

パインたちは捕らえられた人々を解放し、新たな冒険に出た。
まだ見ぬ新しい仲間を求めて、そしてシーラルの待ち受ける
はるかな大地、エルファリアをめざして！！

補足

見てわかる通り、原作とはだいぶ違います。
リシアがまんまエルフだったり、
そのエルフ像をパインが恋しがったり（エルフの石碑からリシア像にすり替えて混ざった感じですね）。
エルフといえばエルルもダイレクトでしたね。
同じ方が描いている攻略本のオープニングコミックと比べると、はっきりしています。
そもそもアルディス達はフォレスチナの騎士ですらなくスンガ町の所属であるらしい事。
騎士ふたりの衣装も……というか、
見かけに関しては水のパーティ以外が例外なく違うという事でまとめられそうです。
そして異なるのはメルドの方法も。少年漫画誌っぽさを組み込んだ影響もありそうですね。

あとはファーミアがファミアとなっている件ですが、
これは後ろにある攻略記事でもファミア扱いされているので、
コロコロコミック編集部に渡された資料が違っていたのか、
ギリギリでファーミアという名前になったのかのどちらかだと思います。

実は表紙の前でパイン達は戦闘をしているのですが、これはその模様。
パインの剣に注目するといたって普通のものです。
＊関係ないですが、ジーンの背中は意外と守りが薄めに見えるような……？

上の方にもあった最初のメルドの模様を少し引いてみました。
剣から何か生えてきたのもそうですが、
メルド用の武器には物質の力を入れるためのスロットがつけられていることがわかります。

これは余談ですが、最後のページより。
左端に見える奇妙な造形のものがオーガのツメをメルドして、ウォリアがための能力をつけた剣。
スロット残ってるのか、コレ。
さらに余談になりますが、盾のデザインが公式イラストとは違います。
あの鳥っぽいのはエルファリア王家の紋章のような気がしていたので、
王子である事を匂わされているにしては、ここで使われていません。
まぁこういう点は些細なポイントなのでしょうけど。

この話では16人中6人(存在だけで言えば8人)しか登場していないわけですが、
最後のページに少しだけ姿を見せています。
パインやアルディス達の後ろにいるのですが、
風貌から判断するに、シーナとトリアスに該当しそうな人物。
後ろの影については置いておくにしても、ここでも姿は意外なもの。特にシーナ。
読みきりだからこうなったとみるべきなのかも。